技能実習生について

高知インターナショナルビジネス株式会社の宮尾です。

技能実習生について説明いたします。

〇技能実習制度発足の経緯

「外国人研修制度」は、1950年代の高度経済成長期を迎え多くの日本企業が海外に進出した結果、海外に日本企業との合弁会社や現地法人が設立され、それらに係る業務を円滑に行うために現地の外国人従業員に対する研修を行わなければならないとして発足されたものです。

発足当時は、企業が単独で外国人労働者を受け入れる「企業単独型」の研修制度でしたが、1990年に制度を改正し、より幅広く外国人研修生を受け入れるために中小企業が中小企業団体等を通じて外国人研修生を受け入れる「団体管理型」が制度化されました。

「団体管理型」では、研修・技能実習により汎用性の高い技術が移転されやすくなり、事業の活性化に役立つようになりました。

企業単独型企業が単独で外国人を受け入れる
団体管理型中小企業団体を通じて外国人を受け入れる

〇研修と技能実習の相違点

研修及び技能実習とは、職業上必要な知識や技能を高めるために一定期間教育することを言い、講義形式や実習形式など、様々な方法で実施されています。

入管法上、講義形式のみを在留資格「研修」とし、実務研修を伴う実習形式を在留資格「技能実習」としています。

さらに、技能実習の段階を「修得」と「習熟」に区分しており、技能実習の修得段階を「技能実習1号」とし、習熟段階は「技能実習2号」となります。

項目研修生技能実習生
法的保護について入管法に基づく入管法・労働関係法令に基づく
労働関係法令について適用なし適用あり
労働・社会保険関係について民間保険への加入労働保険・社会保険の適用
賃金等について生活実費としての研修手当等労働の対価としての賃金等

〇在留資格該当性とは(上陸基準省令)

技能実習生の上陸基準省令

●18歳以上であり、国籍又は住所を有する国に帰国後本邦において修得した技能等を要する業務に従事することが予定されていること。

●本邦において修得しようとする技能等を有する業務と同種の業務に外国において従事した経験を要すること、又は申請人が当該技能実習に従事することを必要とする特別な事情があること。

●申請人が地方公共団体の機関(またはこれらに準ずる機関)の推薦を受けて技能等を習得しようとする者であること。

入管法第7条による上陸審査の要件

  1. 有効な旅券及び査証を所持していること
  2. 申請に係る日本で行おうとする活動が虚偽でないこと
  3. 日本で行おうとする活動が入管法に定める在留資格のいずれかに該当し、また、上陸基準のある在留資格についてはその基準に適合すること
  4. 滞在予定期間が在留期間を定めた施行規則の規定に適合すること
  5. 入管法第5条に定める上陸拒否事由に該当しないこと

〇入国前の講習

過去六か月以内に管理団体が本邦外において実施した講習で、一か月以上の期間を有し、160時間以上の過程を要するもの。又は、管理団体においてその内容が講習と同等以上であることを確認したものが該当します。

●講習内容・・・「日本語」、「本邦での生活一般に関する知識」、「入管法・労働基準法その他技能実習生の法的保護に必要な情報」、「本邦での円滑な技能等の修得に資する知識」

※管理団体が実施する講習は、管理団体の職員が海外に出張するなどして管理団体が確保した講習用施設において自ら実施するものでなければなりません。

※管理団体以外の機関が実施主体となる「外部講習」は、講習の内容と同等以上であることが必要であり、管理団体はカリキュラムや教材等により確認することが義務付けられています。

※雇用契約の効力が発生した後に管理団体が講習を実施しても、上陸基準省令が規定する講習の必要時間数には含まれません。

【技能実習1号から技能実習2号への在留資格変更】

技能実習1号に係る活動は、「技能、技術もしくは知識の修得(技術を学んで身に着けること)」を目的としています。これに対して技能実習2号に係る活動の目的は、「技能、技術もしくは知識の習熟(技術等に繰り返し慣れて上手になること)」です。

「技能実習1号」から「技能実習2号」への在留資格変更は、技能実習1号の活動に従事して技能等を修得した者とされています。 在留資格の変更要請の審査は、修得技能等の評価、技能実習計画の評価及び在留状況等を考慮して行われます。

修得技能等の評価及び技能実習計画の評価については、厚生労働省が定める【技能実習制度推進事業運営基本方針】に基づく技能実習制度推進事業の実施機関による評価が参考とされています。

厚生労働省による技能実習制度推進事業運営基本方針は下記のリンクよりご覧いただけます。

3.◇170714_技能実習制度推進事業運営基本方針 (mhlw.go.jp)

〇変更基準省令について

在留資格変更の取り扱いについては、「法務大臣は、在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り、許可することができる。」と規定され、変更の相当性があるかどうかの判断は、法務大臣の自由裁量によることとされています。

実務上、在留資格の変更目的がふさわしいか否かの相当性の判断は、「在留資格該当性」のほかに、原則として「上陸許可基準」に適合しているかどうかの判断によって行われます。

変更基準省令に適合していなければ、「技能実習1号」から「技能実習2号」への在留資格の変更は許可されません。

①申請人に係る変更基準省令

  • 申請人が国籍又は住所を有する国に帰国後本邦において修得した技能、技術又は知識を要する業務に従事することが予定されていること。
  • 申請人が本邦における技能実習の在留資格に応じた活動により基礎2級の技能検定その他これに準ずる検定又は試験に合格していること。

②技能等に係る変更基準省令

  • 申請人が技能実習1号に応じた活動を技能実習計画に基づき行うことにより、更に実践的な技能を習得しようとするものであると認められること。
  • 申請人が従事しようとする技能実習が、技能実習第1号に応じた活動と同一の実習実施機関で、同一の技能等について行われること。(ただし、技能実習生の責めに帰すべき理由がなく同一の実習実施機関で実施できない場合は、この限りでない)

③報酬に係る変更基準省令

  • 申請人に対する報酬が、日本人が従事する場合の報酬と同等額以上であること。

④指導員に係る変更基準省令

  • 申請人が従事しようとする技能実習が実習実施機関の常勤の職員で修得しようとする技能等について5年以上の経験を有する技能実習指導員の指導の下に行われること。
  • 実習実施機関に申請人の生活の指導を担当する生活指導員が置かれていること。

⑤報告等に係る基準省令

  • 実習実施機関が不正行為を行った場合は、直ちに、地方入管局と管理団体に当該不正行為に関する事実を報告すること。
  • 実習実施機関が、技能実習生が技能実習第2号に応じた活動を継続することが不可能となる事由(修得活動を終了して帰国した場合又は失踪、疾病等)が生じた場合は、直ちに、地方入管局に当該事実及び対応策を報告すること。

⑥施設に係る変更基準省令

  • 実習実施機関が団体管理型の場合は、管理団体又は実習実施機関が技能実習生用の宿泊施設を確保していること。

⑦労災保険に係る変更基準省令

  • 実習実施機関が団体管理型の場合は、技能実習生が技能等の修得活動中に死亡、負傷又は疾病に罹患した場合、その保証が確実に行われるように保障措置を講じることを義務付けること。

⑧文書作成等に係る変更基準省令

  • 実習実施機関が技能実習の実施状況に係る文書を作成し、技能実習を実施する事業所に備え付け、当該技能実習の終了の日から一年以上保存すること。

⑨不正行為・欠落事由に係る変更基準省令

  • 企業単独型にあっては実習実施機関、団体管理型にあっては管理団体、実習実施機関もしくはあっせん機関又はそれらの経営者・役員・管理者・指導者・常勤の職員等が、過去一定期間内に「不正行為」を行った場合、その不正行為の内容によって1年間から5年間技能実習生の在留資格の変更を認めないとする。

また、

1,入管法、労働基準法、船員法、最低賃金法の規定により処罰された場合

2,外国人に対して不正に在留資格認定証明書の交付や上陸許可を受けさせること等を目的に文書もしくは図画を偽造・変造し、虚偽文書等を作成し、もしくはこれらの文書等を行使・所持・提供し、これらの行為を教唆・幇助した場合

にも在留資格の変更は認められない。

不正行為をした実習実施機関の経営者、団体管理型は管理団体の役員及びあっせん機関の経営者又は管理者が、別の機関に移籍したり新たな機関を設立した場合には、当該別の機関又は新規設立機関についても技能実習生の受け入れを認めないとするとされている。

⑩技能実習期間に係る変更基準省令

申請人が従事しようとする技能実習の活動の期間が、次のいずれにも該当すること。

  1. 技能実習1号に応じた活動の期間が一年以下であること。
  2. 技能実習1号に応じた活動の期間が9月以下である場合は、技能実習2号に応じた活動の期間が技能実習1号に応じた活動期間のおおむね1.5倍以内であること。
  3. 技能実習2号に応じた活動の期間と技能実習1号に応じた活動の期間を合わせて3年以内の期間であること。

ご不明な点等ございましたら当社までご連絡ください。

お問い合わせ – KIB (kib-japan.com)

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