研修生と技能実習生について②

高知インターナショナルビジネスの宮尾です。

研修生と技能実習生についてご説明いたします。

〇在留資格該当性について

入管法に定める在留資格は、外国人が日本において行う活動や、日本人の配偶者のように身分・地位を有する者としての活動を在留資格として分類したもので、入管法別表により在留資格ごとの内容が規定されています。

下のリンクから見ることができます。

在留資格一覧表 | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)

これらいずれかの在留資格に該当していなければならないということを「在留資格該当性」といいます。

在留資格の「研修」と企業内で行われる「研修」とは、意味が別になります。

在留資格「研修」

実務研修を伴わない技能等の修得をする活動のこと

企業内の「研修」

一定期間、職場内・外で実務研修を通じて行われる教育訓練や講習、実習 (OJT・Off JT)のこと

~実務研修の線引き~

上陸基準省令5号によって定められた定義によると、「商品の生産もしくは販売をする業務、または対価を得て役務の提供を行う業務」が実務研修の範囲内であるとされています。

これにより、非実務研修とは「商品を生産する場所・時間とあらかじめ区分された場所・時間において行われる生産機器の操作に係る学習」となります。

〇技能実習1号イ・1号ロ、技能実習2号イ・2号ロについて

企業単独型で受け入れられるのが技能実習1号イ、技能実習2号イで、団体管理型で受け入れられるのが技能実習1号ロ、2号ロですが、この四つでは本邦でできる活動の内容が変わってきます。

*管理団体が実習実施機関に実習生をあっせんする行為は、「職業紹介事業」に該当するため、紹介事業を行うための許可又は届出が必要になります。

【企業単独型】

技能実習1号イ 本邦の公私の機関の外国にある事業所の職員、又はその機関と事実上の関係を有する外国の公私の機関の外国にある事業所の職員が、これらの事業所の業務に従事して行う技能等の修得をする活動
技能実習2号イ 技能実習1号イに掲げる活動に従事して技能等を修得した者が、当該技能等に習熟するため、当該機関において当該技能等を要する業務に従事する活動

【団体管理型】

技能実習1号ロ 営利を目的としない団体により受け入れられて行う知識の習得及び当該団体の策定した計画に基づき、当該機関の業務に従事して行う技能等の修得をする活動
技能実習2号ロ 技能実習1号ロに掲げる活動に従事して技能等を修得した者が、当該技能等に習熟するため、当該機関において当該技能等を要する業務に従事する活動

☆「研修」で行うことができる活動は、本邦の公私の機関により受け入れられて行う技能、技術もしくは知識の習得をする活動になります。

〇技能実習生の入管手続き

●実習実施機関は、受け入れに関して積極的な体制を整えていることが重要です。

下記の三つの条件を必要とします。

  • 物的条件・・・生産機械、設備、講習実施場所など
  • 人的条件・・・十分な知識・経験を有する指導員など
  • 事務的体制・・・研修カリキュラムの策定、研修施設の確保・生活指導など

●実習実施機関の財務状況は、貸借対照表及び損益計算書などの決算関連資料により判断されます。

赤字決算の場合であっても、技能実習生の受け入れを認められないとするものではありません。

(財務上危機的状況にある場合を除きます。)

●送り出し機関については、外国機関省令によって規定されています。

外国機関省令とは、一定程度の国債取引の実績等を基準として規定された省令のことです。

企業単独型で受け入れる場合は、申請人が所属する外国の機関の要件が定められています。

〇在留資格「研修」「技能実習」に係る入管法施行規則

入管法施行規則は、入管法に基づき入国・在留許可申請の手続き、提出資料、申請様式、申請代理人の範囲などを具体的に規定し、各在留資格の在留期間を規定しています。

研修研修計画書、履歴書(申請人と研修指導員の分)送り出し機関概要書
技能実習招へい理由書、技能実習実施計画書、講習実施予定表、講習中の待遇概要書、技能実習生名簿等
研修・技能実習それぞれで必要な資料の例

●「研修」の在留期間・・・一年の場合もありますが、六か月又は三か月滞在できる場合もあります。

●「技能実習」の在留期間・・・技能実習1号の場合は一年又は六か月、技能実習2号の場合は一年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間。

〇法務省令について

【上陸基準省令】

上陸基準省令の基準の号数が、「研修」、「技能実習(企業単独型)」、「技能実習(団体管理型)」で異なります。

「研修」は第20号までの基準

「技能実習(企業単独型)」は第23号までの基準

「技能実習(団体管理型)」は第40号までの基準です。

【外国機関省令】

技能実習の企業単独型が受け入れられる、外国の公私の機関を定める省令です。

【団体要件省令】

団体管理型が受け入れることができる団体の要件を定める省令です。

☆外国機関省令と団体要件省令は、海外現地法人や事業場の取引等の関係を持たない機関や、営利目的とする団体が実習生を受け入れることができないように制限されています。

【技能実習生の入国、在留管理に関する指針】

技能実習生を受け入れるときの具体的な留意点や不正行為の対象などを示して技能実習制度の円滑な実施を図ることを目的として作成されました。

〇労働契約の締結について

在留資格「研修」の活動では、賃金が発生しないので雇用契約の締結はいりません。

一方、在留資格「技能実習」の活動では雇用契約の締結が前提条件となります。

実習実施機関と技能実習生とのトラブルを防止するため、労働契約上の権利・義務関係を明確にしておくことが重要です。

●実務上、技能実習生が入国する前に日本語と技能実習生の母国語を併記した雇用契約書や労働条件通知書等の書面を作成し、技能実習生本人と労働契約を締結しなければなりません。

●厚生労働省・JITCOでは、外国人労働者向けの「モデル労働条件通知書」や「技能実習のための雇用契約書」などを用意しています。

【労働条件通知書↓】

一般労働者用モデル労働条件通知書(常用、有期雇用型) (mhlw.go.jp)

【技能実習のための雇用契約書↓】

運用要領【様式合体版】改 (mhlw.go.jp)

〇労働関係法令の適用

労働基準法及びその他労働関係法令については、研修生・技能実習生の「労働者性」を判断します。

これは、研修生・技能実習生の活動実態が使用者の指揮監督下における労務提供と評価するにふさわしいかどうかということです。

●在留資格「研修」においては、一般的には労働者性が否定されますが、労働関係法令によって労働者性がないことを否定されれば労働関係法令が適用されることになります。

●在留資格「技能実習」においては、管理団体において義務付けられた講習の期間中は雇用関係が生じていないため、労働関係法令は適用されません。

●労働関係法令、就業規則、労働組合との協定書等を労働者に周知させること、さらに労働安全衛生法についても周知義務が課せられています。

〇労働保険・社会保険の適用

在留資格「研修」では労働保険が適用されないため、民間保険である「外国人研修生総合保険」に加入するのが一般的です。

在留資格「技能実習」では、実習実施機関において以下の保険に加入して技能実習生の労働災害や傷病等に備えなければなりません。

  1. 労災保険
  2. 雇用保険
  3. 健康保険
  4. 厚生年金保険

●実習実施機関が健康保険及び厚生年金保険の適用に該当しない場合は、国民健康保険及び国民年金の制度に加入することになります。

●管理団体による講習の期間中については、「外国人技能実習生総合保険」を利用します。

〇研修手当と賃金

技能実習生は労働の対価として賃金を得ることができますが、研修生は就労活動をするわけではないので賃金を得ることができません。

●外国人研修制度で研修生を受け入れる場合、「研修手当」として一定の金銭が支払われます。

(研修手当と判断される例・・・参考書・日用品の購入、散髪等)

  1. 物的条件・・・生産機械、設備、講習実施場所など
  2. 人的条件・・・十分な知識・経験を有する指導員など
  3. 事務的体制・・・研修カリキュラムの策定、研修施設の確保・生活指導など

〇在留資格「研修」の入管手続きについて

研修生を受け入れる公私の機関は、積極的な体制を整えていることが重要です。

研修計画の実現性や財務状況等から、適格性を判断されます。

●受け入れ機関の財務状況は、貸借対照表及び損益計算書などの決算関連資料などによって判断されます。収益が上がっていない赤字決算の場合であっても、研修生の受け入れが認められる場合もあります。

(*財務上危機的状況にある場合を除く)

●公的機関では、研修計画の全体に占める実務研修の割合を三分の二以下に制限することを基本としています。

しかし、実務研修の占める比率を規定する上陸基準省令第9号の条件を満たすことにより、実務研修の比率を四分の三以下、更に五分の四以下まで拡大することができます。

☆上陸基準省令第9号の条件

①実務研修を四か月以上行うことが予定されている

②過去六か月以内に本邦外において実施した当該研修と直接に関係のある研修で、一か月以上の期間を有し、かつ160時間の過程を要するものを受けた場合(実務研修を除く)

〇技能実習生が失踪した可能性がある場合の対応について

技能実習生が出社しておらず、連絡が取れない場合、下記の対処事項を行います。

  • 事実関係の把握・・・社員や同僚に、最後に会った時の様子などを聞き取る。
  • 部屋の中の確認・・・在留カードやパスポート、その他貴重品の有無を調べる。
  • 管理団体に連絡・・・上記2つの情報を連絡する。
  • 送出機関に連絡・・・管理団体の方から、「行方不明の事実と現在の状況」を連絡する。
  • 警察に連絡・・・上記4つまでで所在が不明な場合、「行方不明届」を提出する。
  • 地方出入国在留管理庁・外国人技能実習機構に報告・・・「行方不明届」を提出後速やかに報告を行う。

技能実習生が失踪する理由

給与に不満がある

仕事が厳しい

職場の人間関係が良くない

強制的に帰国せざるを得なくなった(基礎級試験に失敗、解雇等)

失踪を防ぐためにできること

採用前・・・賃金・労働時間等について現地の言葉でわかりやすく説明する

採用後・・・職場になじみやすくなるために日本の社会のルールや仕事内容の水準などを具体的に説明する

☆個々の技能実習生とのコミュニケーションを大切にし、適切に指導を行うこと。

〇帰国時・退職時の手続き

~技能実習生が行う手続き~

持ち物チケット・パスポート・在留カード
銀行口座の解約最終給与支給後、必ず解約させること
市町村への転出手続き帰国前に必ず行うこと
携帯電話及びインターネット等各種契約の解除帰国前に必ず行うこと
宿舎の掃除寮退去に伴う掃除及びごみ捨てなど

☆携帯電話やインターネットの契約解除について・・・行っていない場合、実習生が帰国した後も料金が発生し、実習実施機関が負担することとなりますので注意してください。

ご不明な点等ございましたら当社までお問い合わせください。

お問い合わせ – KIB (kib-japan.com)

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