入管法19条と資格外活動について

高知インターナショナルビジネスの宮尾です。

入管法19条と資格外活動についてご説明いたします。

〇在留資格「特定技能」の罰則規定

罰則規定一覧

1法第19条の21第1項6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金
2法第19条の18第1項第1号30万円以下の罰金
3法第19条の18第2項第1号30万円以下の罰金
4法第19条の20第1項30万円以下の罰金
5法第19条の18第1項第2号、第3号及び4号10万円以下の過料
6法第19条の18第2項第2号及び第3号10万円以下の過料

特定技能外国人を受け入れるにあたって届け出をしなければならないのに届け出を行わなかった場合や、虚偽の届け出をした場合、改善命令に従わなかった場合等が罰則の対象となっています。

〇入管法第19条

入管法第19条は、「資格外活動の許可」に係る法令です。

日本に在留する外国人は就労や留学などの在留資格を持って在留することとされていて、その在留資格の範疇から外れた活動をすることはできません。

すでに持っている在留資格で行える活動以外に、収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行う場合にはあらかじめ資格外活動の許可を得なければなりません。

●資格外活動許可の対象である在留資格

  • 外交
  • 公用
  • 教授
  • 芸術
  • 宗教
  • 報道
  • 医療
  • 研究
  • 教育
  • 介護
  • 興行
  • 技能
  • 留学
  • 高度専門職
  • 経営・管理
  • 法律・会計業務
  • 技術・人文知識
  • 国際業務
  • 企業内転勤
  • 特定技能
  • 技能実習
  • 文化活動
  • 短期滞在
  • 家族帯同
  • 特定活動
  • 研修

☆資格外活動の許可は、証印シール又は資格外活動の許可書の交付によって受けられます。

〇活動内容の留意点

証印シール又は資格外活動の許可書には、「新たに許可された活動内容」が記載されます。活動内容によって、勤務先の名称、所在地及び業務内容等を指定しない場合があります。

①雇用主である企業等の名称、所在地及び業務内容等を個別に指定する場合

②一週に勤務時間が28時間以内であること及び活動場所において風俗営業等が営まれていないことを条件として企業等の名称、所在地及び業務内容等を指定しない場合

③地方公共団体等において雇用されている「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「技能(スポーツインストラクター)」の在留資格を持って活動する外国人の勤務時間が一週に28時間以内であること及び地方公共団体との雇用契約に基づいて、これらに該当する活動を行うことを条件として、勤務先の名称、所在地及び業務内容等を指定しない場合

〇「包括許可」、「個別許可」について

前項の②、③のように、1週に28時間以内働くことを条件にして留学生などに業務を行ってもらうものを「包括許可」といい、インターンシップなどの目的で28時間を超えて働くことができるものを「個別許可」といいます。

なぜ28時間というボーダーラインなのかというと、本邦では1週間に32時間の労働を「常勤」と「非常勤」の分かれ目としているためです。「常勤」と同じ32時間働いてしまうと在留資格の活動の遂行が妨げられる恐れがあるので、32時間から4時間を引いた28時間とされています。

☆複数事業所で働く場合には、全ての事業所の労働時間を合算して28時間以内となります。

●包括許可の特則

包括許可について、留学生にのみ適用される2つの特則があります。

  1. 在籍する教育機関が長期休業期間にある時は、1日につき8時間以内(週40時間以内)の就労ができる
  2. 教育機関に在籍している時に行わなければならない

教育機関から卒業してからもアルバイトを続けていると、資格外活動罪として罰せられます。

☆資格外活動罪の罰則・・・3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金等の刑事罰のほか、退去強制。資格外活動を行った外国人に対して課せられます。また、当該外国人を雇用した事業主(代表者、従業者、法人も含まれる場合があります。)も不法就労助長罪となり罰せられることとなります。

☆不法就労の例・・・不法残留者(在留期限が切れても日本に在留し続けている者)、不法入国者は本邦に滞在していること自体がいけないことなので不法就労となります。合法滞在者であっても、働く許可を得ていないと不法就労に該当します。

☆不法就労助長罪を回避するためには・・・雇用する前に、在留カードや特定活動ビザなどが偽造でないかをしっかりと確認することです。

●包括許可対象者

  1. 留学の在留資格を持っている者
  2. 家族滞在の在留資格を持っている者
  3. 継続就職活動又は内定後就職までの在留を目的とする「特定活動」の在留資格を持っている者
  4. 外国人の扶養を受ける配偶者もしくは子、又はそれらに準ずる者として日常的な活動を指定されて在留している「特定活動」の在留資格を持っている者
  5. 教育、技術・人文知識、国際業務又は技能(スポーツインストラクターに限る)の内、地方公共団体との雇用契約により活動する者

●個別許可について

個別に勤務先の名称及び事業内容その他必要な事項を特定しないのが包括許可、特定するのが個別許可です。

個別許可は、包括許可の範囲外で行われる活動について申請があった時や、その外国人が持っている就労資格とは別の活動を行うときなどに行われます。

●個別許可対象者

  1. 留学生がインターンシップに従事するとして週28時間を超える資格外活動を行う場合
  2. 「教授」の在留資格を持ったものが民間企業で語学教師として稼働する場合
  3. 個人事業主で活動する場合
  4. 稼働時間の確認が客観的には困難である活動に従事する場合

〇アルバイト代の免税について

資格外活動で得たアルバイト代には所得税がかかりますが、活動を行っている外国人の国籍国と日本が「租税条約」又は「租税協定」を結んでいる場合には、アルバイト代の一部又は全部が免税されることがあります。

租税条約とは・・・日本に在留している外国人が、どちらの国で課税するのかをあらかじめ決めておくことを目的としたものです。二重課税の調整や、脱税及び租税回避への対応等を通じて、二国間の健全な投資経済交流の促進を図るためにあります。

●租税条約により、租税に関する不当な取り扱いを受けたときに協議機関へ申し立てを行うことができたり、外資企業が日本で得た受取配当や受取利子についての課税が軽減されたりします。

☆財務省による、日本と租税条約を結んでいる国一覧表は下記のリンクから見ることができます。

我が国の租税条約等の一覧 : 財務省 (mof.go.jp)

●留学生が得たアルバイト代の「全部について」免税が受けられる国の例→中国

●留学生が得たアルバイト代の「一部について」免税が受けられる国の例→フィリピン、韓国、インドネシア、スリランカ

●留学生が得たアルバイト代の「全部について免税が受けられない」国の例→ベトナム、インド、ドイツ

●留学生をアルバイトとして雇用する際の源泉所得税については、その留学生が日本の居住者(1年以上日本国内に居所を有する個人)なのか、非居住者なのかで徴収額が変わってきます。

ご不明な点等ございましたら当社までお問い合わせください。

お問い合わせ | KIB (kib-japan.com)

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